
緊急時対応
処置のための知識、器材の確保について
Ⅰ.救急箱の常備
Ⅱ.心肺蘇生とAED
Ⅲ.バイタルサイン
Ⅳ.アナフィラキシーショックへの対応
Ⅰ.救急箱の常備
緊急対応時のための救急箱を常備しております。労働安全衛生法による以下の3つの義務に基づいて管理しております。
①救急箱の設置(労働安全衛生規則第634条第1号に対応)
②救急箱の場所と使用方法の周知
③救急箱の品目また定期的に欠品の確認、補充、薬品の使用期限の確認を行っております。

Ⅱ.心肺蘇生とAED
歯科治療時の極度の不安や緊張から交感神経の過緊張による血管迷走神経反射や、歯科用局所麻酔に添加されるアドレナリン(末梢神経を収縮させて麻酔効果を持続、増強させるため)の血管収縮作用などにより、心臓がけいれん状態を起こしてしまった場合に胸骨圧迫などの心肺蘇生法とAEDにより正常な心拍の回復を試みます。法令などでAEDの設置義務はありませんが、日本心臓財団の"AED設置基準の条件"と厚生労働省の"AEDの適正配置に関するガイドライン"に基づいて導入しております。また、AEDによるセルフメンテナンスチェックの結果や消耗品管理の日常点検も行っております。

Ⅲ.バイタルサイン
循環器疾患などの基礎疾患を有している場合、歯科治療のストレスや痛みなどにより基礎疾患が急激に憎悪することがあります。その兆候を早期に察知するために、治療中に体温、呼吸、血圧、脈拍に加え、意識、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)などのモニタリングを行い、注意深く把握する必要があります。当院では特に以下の患者さんに関して適応としております。
①健常者:血管迷走神経反射の既往がある。その他歯科治療に関連して異常が生じた既往がある。アレルギー既往であることが完全に払拭できない場合。
②有病者:ストレッサーに反応しやすい基礎疾患を有している場合。(循環器系、脳血管障害、甲状腺機能異常など)低酸素になりやすい場合。(呼吸器系疾患など)その他。
③高齢者:局所麻酔を行う場合。
上記に当てはまらない方でもご希望の場合は、お気軽にご相談ください。
Ⅳ.アナフィラキシーショックへの対応
WAO(世界アレルギー機構)のアナフィラキシーガイドラインでは以下のように定義されています。
アナフィラキシー:アレルゲン等の侵入により、複数の臓器または全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応。
アナフィラキシーショック:アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合。
当院ではWAO(世界アレルギー機構)のアナフィラキシーガイドラインを参考に初期対応および予防と管理に努めております。
①バイタルサインの確認
②助けを呼ぶ
③アドレナリンの筋肉注射
④患者を横臥位にする
⑤酸素投与
⑥静脈ルートの確保
⑦心肺蘇生
⑧バイタル測定
※重症症状(不整脈、低血圧、心停止、意識消失、嗄声、犬吠様咳該嗽、嚥下困難、呼吸困難、喘鳴、チアノーゼ、持続する我慢できない腹痛、繰り返す嘔吐など)の出現、また過去に重篤なアナフィラキシーの既往がある場合や症状の進行が激烈な場合は、アナフィラキシーの初期対応において第一選択薬であるアドレナリン自己注射薬(エピペン®)をプレホスピタルケアとして行います。これらについては、初診時の問診票を同意書のサインといたします。ご不明な点がございましたら、お気軽にご質問ください。